Q 資本金が10万円で考えていますが、何か問題がありますか?
A 会社法が新しくなり、会社設立の際の資本金には規制がなくなりましたので、資本金はいくらでも構いません。ですので、会社設立の手続きを行ううえで特に問題になることはありません。
ただし、資本金は、会社設立した後の運転資金となりますので、会社設立した初月から売上がない場合、資金がショートしてしまい、会社を運営できなくなりますので、毎月の固定費と利益の見込みとのバランスを考慮して資本金の額を決めるとよいかと思われます。
Q 当初考えていた資本金の額に、あと、50万円足りません。何か方法はありませんか?
A 現金が足りない場合については、知人・両親・親戚から借りるなどの方法が考えられますが、おそらくその部分は、考えられていると思いますので、現金以外でいうと、自分の持っているものを資本金に組み入れる方法があります。
これを現にある物を出資するということで、現物出資といいます。
例えば、自分の持っているパソコン・冷蔵庫・車・不動産などを会社の持ち物にすることができます。
具体的には、現在の価値を計算して、資本金に入れることになります。
現物出資として資本金に組み入れる額が500万円以内であれば、自己責任で金額を計算できます。
ただし、500万円を超える場合、裁判所の手続きが必要になり、煩雑になりますので、会社の設立時期が延びますので、ご注意ください。
また、車・不動産等名義が登録されているものに関しては、会社設立後、速やかに会社名義にする必要があります。
Q 資本金は会社設立後、使ってもいいんですか?
A 使って大丈夫です。
会社設立当初は、資本金を運転資金として経営していくことなることが多いと思いますので、使っても問題ありません。
資本金を使ったからといって、登記簿謄本の資本金の額が減ることもありません。
イメージとしては、資本金が、現金・預金・車などの資産に変わっていくようなイメージでよいかと思います。
Q 資本金をいくらにしたらいいかよくわかりません。資本金の額を決めるポイントを教えてください。
A 資本金を決めるポイントとしては、
①信用力
②運転資金
③許認可事業
この3つのポイントから決めていくのがよいかと思われます。
①の信用力に関しては、会社法が変わる前(資本金に規制があった時代)は、有限会社300万円、株式会社1000万円とされていましたので、この金額を1つの基準にするとよいかと思われます。
ただし、取引先から「資本金が1000万以上じゃないと取引しない」「株式会社は1000万以上じゃないと認めないという習慣がある(ありそうだ)」という場合もありますので、大口の取引先(候補)に確認してみることも必要かもしれません。
②の運転資金に関しては、他のQ&Aでも少し触れていますが、会社設立初月から売上がない場合には、資本金が運転資金となりますので、月々の固定費と売上計画とのバランスで、決めていく必要があるかと思います。
③の許認可事業に関してですが、おこなう事業によっては、資本金の額が要件となっている事業があります。例えば、建設業であれば原則として、500万円以上の資本金が必要ですし、人材派遣業(一般派遣業)であれば原則として、1,000万円以上の資本金が必要で、プラス現金・預金が800万円以上必要です。
このことを知らずに会社を設立してしまうと、事業を始めることができませんし、気づいて資本金を増やすときに費用がかかります。また、資本金を増やす手続きをとっている間の期間も必要となり、事業を開始するのが遅れますので、会社の事業が許認可が必要かどうかと資本金の額が要件となっているかどうかを十分調査しておく必要があります。
以上が資本金を決めるポイントですが、会社を設立した初月から黒字が見込め、①の信用力と③の許認可事業の問題がなければ、資本金はいくらに設定されてもよいかと思われます。
Q そもそも資本金ってなんですか?
A 会社を設立したときに、現金・資産がどれだけあったかを示すものです。
会社を設立したときの、その会社の価値ともいえます。
例えば、現金500万円の資本金で会社を始めた場合、会社設立当初は、500万円の価値がある会社ということになります。
その後、資本金を使って、経営を行っていくことで、資本金は現金や商品、車、備品などの資産や売上に変わっていきます。
資本金=現金ではないので、登記簿謄本等で取引先の資本金の額を確認する際は、注意が必要かもしれません。
資本金100万円で会社をつくろうと思いますが、資本金の振込金額は、100万円でないといけないですか?
資本金の振込に関しては、資本金にしようと思う額(今回の質問ですと、100万円)と同じがよいですが、多く振り込んだ場合でも、そのままで大丈夫です。また、近年、ATMで振込みができる額に制限がありますので何回かに分けて振り込んでも大丈夫です。通帳のコピーをとったときに、どの部分が資本金の振込にあたるのか、印をつけておくとよいかと思います。
現在、会社設立の登記がおわるのを待っている段階ですが、資本金を使えるのは、いつからですか?
登記が完了後、会社用の銀行口座を開設するまでは、設立のために振り込んだ分は、動かさないほうがよいかと思われます。登記は、約10日前後で終わります。
Q 妻を役員に入れたいと思うのですが、どうでしょうか?
A 会社を設立する際に、奥さんを役員にするかどうかについては、
①奥さんが専業主婦なのか収入を得ているのか
②収入を得ているのであれば、扶養の範囲内かどうか(社会保険・所得税の両面から考慮する)
③奥さんを役員にした場合にどのような仕事をしてほしいのか、収入面では扶養から外れてもよいのかどうか
主に以上のポイントを考慮して役員にするかどうか決めるとよいかと思われます。
Q 友人5人で出資して会社を起こそうと思います。何か注意点はありますか?
A 5人全員が出資するとのことですので、役員にも全員就任されるかと思いますが、まず、出資比率がポイントとなります。
株主総会で全てきめる場合、議決方法は、議決権の過半数(50%)で決めていくことになります。この部分をリーダーが取るかどうかが1つの目安となります。
また、議案によっては、3分の2以上の議決が必要な場合があります。この部分をリーダーが取るかどうかが2つ目の目安となります。
リーダーが3分の1以上持つことで、リーダーが反対すれば、特に重要な事柄に関しては、リーダーの意見が尊重されることになります。
また、取締役に関しては、任期が重要なポイントかと思います。
原則、取締役の任期は、2年となっておりますが、「株式の譲渡に関して会社の承認がいる」ことになっている会社(株式譲渡制限会社といいます。)では、取締役の任期を10年とすることができます。
原則どおり、取締役の任期を2年としておくと、2年後に同じ役員が再任されても、登記が必要になりますので、費用が発生します。
ただ、役員の見直しを定期的に行うことができます。
また、役員の任期を10年とした場合、登記費用を節約することができますが、万が一、役員間がギクシャクして誰かをやめせたいとなった場合、なかなか解任できない場合がありますので、注意が必要です。
Q 役員給与(役員報酬)はどうやって決めるのがいいですか?
A 役員給与(役員報酬)に関しては、税理士さんと相談して決めるのがよいかと思いますが、弊社の場合、1年の利益と経費を予測して、12ヶ月で割った金額としました。
ただ、経費に関しては、多めに予測していますし、利益に関しては、最低限のものですので、経費を節約し、利益が予想以上に上がる場合には、かなりの剰余金が出る役員給与の設定としました。
役員給与は、基本的に、1度決めると1年は変更できませんので、「利益が出たら払うものは払う」という感覚でいます。
ご参考になれば幸いです。