現在事項証明書では口座開設できない?

 会社を設立して、まず、やることといえば、会社の口座を作ることです。

 銀行口座を作る際には、印鑑と開設にきた人の身分証、会社の登記簿謄本(登記事項証明書)、銀行によって会社の印鑑証明書が必要となります。

 

 この登記簿謄本ですが、いろいろな種類があり、一般的には全部事項証明書の履歴事項証明書(変更履歴が記載された一番詳しいもの)を請求するかと思います。

 全部事項証明書には履歴事項証明書のほかに現在事項証明書と閉鎖事項証明書があります。

 現在事項証明書は、現在の情報のみが記載されたもので、閉鎖事項証明書は会社の管轄が変わった場合に、閉鎖された情報が記載されたものです。

 

 会社を設立したばかりの場合、現在事項証明書も履歴事項証明書もよほどすぐに変更手続きをしない限り、同じ情報のはずです。

 

 ただ、ある金融機関では、一番詳しい登記簿謄本が必要ということで、設立して間もない会社でも履歴事項証明書の提示を求められます。

 

 登記簿謄本は、安くなって1通700円で取得できますが、余計な出費を防ぐうえでも、銀行口座を開設する際は、「履歴事項証明書」を持参したほうがよいと思います。

 

 

NPO法人と一般社団法人の違い

昨年の12月から社団法人の制度が代わりました。

具体的には、社団法人を設立したい場合には、まずは、一般社団法人を設立し、公益性がある場合には、公益認定を受け、公益社団法人になることができるという制度で、以前は、設立と公益性の認定を同じ役所がおこなっていたものを設立は登記のみで、公益認定は、専門の機関がおこなうということなりました。

以前からの流れで、もともと、社団法人は、公益性があるという認識が浸透していますが、制度が変わった今でも、一般の方のイメージはそんなに変化はないと思います。

 

一方、以前から、似たような法人形態でNPO法人というものもあります。

 

そこで、どちらのほうがよいのかという疑問がでてくるわけですが、大きな違いとしては、下記のようなものがあります。

【最低人数】

一般社団法人は2人、NPO法人は10人

【所轄庁】

一般社団法人は登記のみですので、どこからの役所に認可等をもらう必要はありませんが、NPO法人は愛知県知事の認証がなければ、設立できません。

【役員の制限】

一般社団法人には役員に関しては、親族だけでもOKですが、NPO法人は、制限があります。

【設立までにかかる期間】

一般社団法人は、登記だけですので、書類が揃えば2週間程度で登記まで完了しますが、NPO法人は、知事の認証が必要となり、登記まで最低4ヶ月半はかかります。 

【機動性】

一般社団法人は登記だけですので変更があれば登記をおこなうだけでよいのですが、NPO法人は軽微なものを除いて、知事の認証が必要となり、その際も、4ヶ月ほどかかります。

 

主な違いとしては、以上のようなものがあり、NPO法人は運営面から見るとスピーディに動ける法人形態ではありませんので、この部分を重視する場合には、一般社団法人のほうがよいかと思われます。

 

その他の違いについては、弊社の一般社団法人のHPにまとめてありますので、ご参考ください。

     ↓

一般社団法人とNPO法人の違い

 

 

任意団体から一般社団法人を設立するときのスケジュール。

任意団体で活動をおこなっていて、一般社団法人にしたいという問合せを受けるときがあります。

このときに次の質問をいただくときがあります。

「任意団体での会員数が多く、全員が設立の手続きに参加するのは大変だと思うが、何かいい方法がないか?」

 

確かに任意団体で活動しており、会員が10人以上いて、全員を設立時の社員として手続きをおこなうと非常に大変になります。

そこで、一般社団法人を設立する手続きをおこなう代表者を2名選んでおき、設立した後に、会員が社員となるという流れで進めていくことをおススメしております。

 

一般社団法人は、設立時の社員として2名必要ですので、最低限の人数で設立をおこない、設立後に社員となることで、設立手続きが簡便になります。

もちろん、定款については、現在の会員の方々に、メール等で送っておき、目を通してもらい、意義があれば言っていただくという作業をおこなったほうがよいと思いますが、定款について賛同を得られれば、問題となる部分は、役員のことだけとなります。

 

設立を2名でできるといっても、現実的には、役員を登記しなければいけないので、役員で設立手続きをおこなうという方法が一番現実的かと思います。

 

 

一般社団法人とは?

現在の社団法人・財団法人の公益法人制度の改正が平成20年12月1日におこなわれます。

これに伴い、平成20年12月1日以降に設立される社団法人・財団法人は、一般社団法人・一般財団法人となります。

その後、公益認定を受けると公益社団法人・公益財団法人となることができます。

公益認定を受けると、税制上の優遇措置があります。

 

一般社団法人の特徴としては、次のようなものがあります。

・設立が簡単

(株式会社の設立のように、定款の認証→登記という手続きとなり、役所の認可は不要となります。)

・出資金は不要

・事業に制限がない

(公益性は問われません)

・社員2名から設立可能

・理事に給与の支払いが可能

・剰余金の配当は不可

・役所の認定を受けると公益認定法人となることができる

 

天下り・補助金・必要性など批判が多いこともあり、改正となり、設立しやすくなったといえます。

ただ、設立しやすくなったということは、「社団法人」と聞くと公益法人のイメージがありましたが、今後は、ネームバリューが低下するかもしれません。

将来的に、公益法人を目指す場合には、まずは、一般社団法人からスタートするということになりますが、それ以外の場合には、別の法人のほうがよいかもしれません。

 

欠格要件には注意!

建設業、宅建業、産廃業、古物商など事業をおこなうために、役所の許可が必要なものには、その許可の要件の1つに、

欠格要件に該当しないこと

というものがあります。

役員や株主の中に欠格要件に該当する方がいる場合には、許可を取得することができません。

 

また、許可申請の際に、該当しなくても、許可を取得した後、該当することになった場合には、許可の取消事由にあたります。

もし、そのようなことに該当しそうな場合には、すぐに役員・株主から外す手続きをおこなう必要がありますので、注意が必要です。

 

欠格要件の主なものとしては、「成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ない方」というものがありますが、そのほかには、特定の罪によって禁固刑・罰金刑を受けた方なども欠格要件に該当してくる場合が多いです。

 

許可だけでなく、会社法の中でも、取締役に関しても、欠格要件に該当する場合には、取締役になることができないとされています。

ただし、破産者に関しては、欠格要件に該当しないので、その場合でも取締役となることができます。

これは、日本のほとんどが中小企業であり、その中小企業の取締役(特に代表取締役)は、金融機関からの借入をおこなう場合に、連帯保証をしている場合があり、倒産した場合、破産となるケースが多いため、再起する機会を確保するためといわれています。

 

しかし、取締役の在職中に、破産手続きの開始決定となった場合には、退任が必要となります。

(取締役は、民法上の委任により職務をおこなっており、委任契約の終了に該当するため)

 

 

 

 

 

会社設立と許認可、どっちが先?

事業をおこなううえで、役所の許認可が必要となる場合がありますが、会社を設立して、その事業を行う場合、

「会社を設立するのが先か?それとも許認可を先に取っておく必要があるのか?」

という疑問が出てきます。

会社設立のご相談の際でも、よくある質問ですが、結論からいいますと、

会社を設立することが先

です。

 

これは、役所の許認可は、その人又は会社に与えるものですので、個人事業の場合は、個人事業主に与えることになり、会社の場合は、会社に与えることになります。

ですので、会社で許認可が必要な事業をおこなう場合には、会社がないと申請できないので、会社を設立することが先になります。

 

 

許認可が必要な事業をおこなう会社を設立する場合には、上記外ですと、許認可の条件の中に、「資本金が500万円以上」などがある場合がありますので、ご注意ください。

 

会社設立とビジネスネーム。

本名とは違うビジネスネームを使って、事業をおこなう場合があります。

自分のつけたい名前や姓名判断など、理由は様々かと思います。ビジネスネームは、芸能人の芸名のようなものですね。他には、夜のお店でも使われています。

法人ですと、レンタルのニッケンという会社が、社員の公私をわけるという意味で、ビジネスネームで活動しています。

レンタルのニッケン

 

では、自分の希望するビジネスネームで、会社を設立することができるか?

 

これは、できません。

 

会社を設立する際には、印鑑証明書が必要となりますので、本名での登記が必要となります。

ビジネスネームですと、どこの誰かもわからず、結局、登記する意味がなくなりますので、本名で設立することが必要となります。

「どうしても、ビジネスネームで!」 

という方は、法的な手続きをおこなって、変更した後に、会社を設立するしかありません。

 

 

僕の周りで、ビジネスネームを使っている方は、少ないので日本では少ないのかなという印象ですが、どうなんですかね。

 

外国在住の外国人との合同会社設立はOK?

会社設立のご相談を受ける際に、

外国に住んでいる外国人と日本人で合同会社をつくりたい

という問合せを受けるようになりました。

 

日本に住んでいる外国人が会社を設立する場合には、ビザの問題がクリアできれば、設立は進んでいくかと思います。

ただ、外国に住んでいる方が外国人が合同会社の社員となる場合には、注意が必要です。

結論からいうと、合同会社の代表となる社員(代表社員)が、日本人であれば、設立は可能です。

外国在住の外国人のみで日本で合同会社を設立することはできません。これは、会社法の中でいう外国会社にあたり、日本で営業活動をおこなうには、日本に住所のある責任者が必要となるからです。

 

外国に在住の外国人と合同会社を設立する場合には、代表社員にどなたがなるのかという点に注意していただければと思います。

 

会社を設立をすることはゴールではない!

会社設立のご相談では、会社設立の手続きそのものよりも、税金・経理・契約・支払い・融資・社会保険など会社を設立したあとに関するご相談が圧倒的に多いです。

会社を設立することはゴールではないので、社長さんが気になるところは、設立した後のことであるのは当然のことですね。

 

具体的な質問としては、 

・資本金は、いくらがいいですか?

・役員の給料はどうすればいいですか?

・経理は、どうやったらいいですか?

・契約書をつくらないとどうなりますか?

・お金を借りたいんですが、融資は可能ですか?

・社会保険の手続きはどうすればいいですか?

・従業員を雇った場合、会社が支払う分はいくらぐらいになりますか?

などなど多岐にわたります。

 

ある程度、上記のような質問が出尽くし、疑問が解消された段階で、設立手続きに関する質問が出始めます。

 

設立の際のご相談は、 上記の疑問点を全てを解消できるような体制でければ、お客様の役には立てないと考えております。

ただ、上記の質問の中でも、税金に関することに回答することは、税理士さんしかやってはいけません。有料はもちろんですが、無料でもダメです。一般的な税の制度について概要を回答する程度ならよいかと思いますが、お客様が聞きたいのは、ご自分の状況に即した回答です。具体的なことを聞きたいのです。

そうなると、税理士さんしか回答できません。 

 

そこで、弊社は、お会いしてのご相談の際には、税理士さんも一緒に同席することで、会社の設立だけでなく、設立後の経営・運営全般に関する質問にも回答できるようにしております。

行政書士と税理士の専門家2人に様々な質問をできることになります。

また、僕は、ホームページを使った売上アップに力を入れておりますので、そのあたりのお話もさせていただいております。 

 

専門家を探している場合には、「どこまで相談できるのか?」ということをある程度、確認しておくことが必要かと思います。

 

 

 

類似商号調査は不要?

会社法が変わってから、類似商の調査は必要ないという情報を目にすることがあります。 

たしかに、「同じ住所に同じ商号で登記をすることはできない」(商業登記法第27条)となっていますので、使用する商号(会社名)が登記予定の所在地で登記されていなければ、会社を設立することができます。

ただし、商号については、会社法には、

第8条 何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。

2  前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

とあります。 

また、不正競争防止法の第2条1号では、

他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為

を、不正競争にあたるとしています。

ですので、不正の目的での似た商号を使用することはもちろんのこと、知らずに使用した場合も将来的に争いとなる可能性があります。

仮に、上記に該当する場合、商号の使用停止・変更・損害賠償の請求を受ける可能性があります。(会社法第8条2項、不正競争防止法第3条~第5条)

 

では、どういう場合に、どんなことがおきるのか?

 

例えば、同じ地域で、同じ会社名で、同じ業種、しかも、店舗をもっていて店舗の名前が同じであったり似ている場合。

こういう場合、気付いた相手は、内容証明で、まずは、同じ商号を使わないよう警告してきます。

そのような意図はないと争うことも考えられますが、お金も時間もかかりますので、事業に悪影響を及ぼしますので、商号を変更することが多いかと思います。

 

そうすると、商号変更や店舗の看板・名刺・販促物等の商号が入ったもの全てを変更しなければいけません。

かなりの金額になります。

新規でオープンして資金が不足している場合には、倒産なんてこともありえます。

 

 

「類似商号の調査は必要なし」

 

将来のためにも、そのような言葉は信じないで、しっかり調査しましょう。